知的財産権について
あなたの権利は守られていますか…
人間の幅広い知的創造活動の成果について、その創作者に一定期間の権利保護を与えるようにしたのが知的財産権制度です。知的財産権は、様々な法律で保護されています。
目次
知的財産権の種類
知的財産権には、特許権や著作権などの創作意欲の促進を目的とした「知的創造物についての権利」と、商標権や商号などの使用者の信用維持を目的とした「営業上の標識についての権利」に大別されます。また、特許権、実用新案権、意匠権、商標権及び育成者権については、客観的内容を同じくするものに対して排他的に支配できる「絶対的独占権」といわれています。
・育成者権
常緑キリンソウ「トットリフジタ1号」(品種登録番号第15866号)は藤田愛子が育成権者です。
常緑キリンソウ「トットリフジタ2号」(品種登録番号第15867号)は藤田愛子が育成権者です。
・特許
「常緑キリンソウ袋方式」(特許第4911418号)は㈱フジタが特許権者です。
*特徴:ファスナーを用いた不織布製の植栽袋(ファスナー式植栽袋の特許)
・意匠
「常緑キリンソウ袋方式」 (意匠登録第1397102号)は藤田豊博が意匠権者です。
*特徴:ファスナーを用いた不織布製の植栽袋(ファスナー式植栽袋の意匠登録)
・商標
「常緑キリンソウ」 (登録商標第6437117号)は株式会社フジタの登録商標です。
「常緑キリンソウ袋方式」(登録商標第6125712号)は株式会社フジタの登録商標です。
育成者権とは
育成者権は育成された品種(植物体そのもの)を保護するための権利です。品種とは、植物分類の下位の単位で、植物の実用的性質において他の集団と区別可能な遺伝的性質をもつ集団をいいます。(逐条解説種苗法)品種の育成者とは、交雑等の人為的変異及び突然変異等の自然的変異に係る特性を固定又は検定した者をいいます。育成者権を取得すると、自身の登録品種の利用を独占できると共に、第三者が無断でその登録品種を利用していればそれを排除することができます。私たちの身近なところに多くの育成者権が存在します。おいしい果物、鮮やかな色彩の花、耐寒性や耐病性に優れた米、健康成分をさらに増したお茶などに育成者権が与えられています。
育成者権侵害に対する罰則
育成者権者又は専用利用権者に無断で登録品種を利用した場合、育成者権を侵害したことになります。育成者権者等は、侵害者に対し、民事上、以下のことを請求できます。
◆侵害行為を止めること、侵害行為において作られた種苗、収穫物若しくは加工品の廃棄を 求めること等(差止請求)
◆損害の賠償を求めること(損害賠償請求)
◆信用の回復に必要な措置等を求めること(信用回復の措置請求)
故意に育成者権を侵害した場合には、以下の刑事罰が科されます。
◆個人:10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金
又はこれらの併科(懲役と罰金の両方を科す)
◆法人:3億円以下の罰金
育成者権侵害行為の対応
育成者権者は、育成者権の侵害者に対し、例えば、侵害行為を中止するような警告を発した上、まずは、侵害者との間で、損害や許諾等の話合い(示談)をする対応をとることができますし、最終的には、民事上の措置として、裁判所に対し、侵害行為の中止を求める差止、損害賠償、信用回復措置を請求する訴え(民事訴訟)を提起することが出来ます。また、育成者権者は、故意による侵害者に対しては、刑事上の措置として、刑事告訴をするといった対応を取る事が出来ます。
種苗法違反は刑事訴訟が基本
特許や著作権などと同様に、種苗も知的財産になりますが、他の知的財産権と比べて、権利侵害の証明が非常に難しいと言われています。また、実際の裁判の判例なども少なく、権利侵害を受けた場合の対処方法について書かれた物も非常に少なく、その対応に戸惑ってしまいます。民事訴訟では、証拠押収のために強制的に圃場に入ったりする事は出来ません。品種保護Gメンも、育成者権侵害対策に係る相談は受けてもらえますが、警察など国家権力ではありませんので強制捜査する権利はありません。育成者権をめぐって民事訴訟を起こすと「訴えた側が同一品種であることを証明しなくてはならず大変」です。一方刑事事件の場合は、警察が動いて立証する為に訴えた側の負担が少なくなります。刑事事件では、証拠押収のために強制捜査で圃場に入り、侵害品を押収する事が可能です。種苗法違反は、育成者権侵害行為の対応例(フロー図)の①刑事告訴~刑事裁判を基本に考えてみる事も重要です。
育成者権侵害の罪は非親告罪
親告罪とは、被害者からの告訴がなければ検察が起訴(公訴の提起)をすることができない犯罪の種類を言います。つまり、捜査機関が単独で逮捕や捜査を進めることができない犯罪のことを言います。告訴とは、砕いて説明すると、被害者が「加害者に罰を与えてください」と、処罰を求めて警察などの捜査機関に申告することです。親告罪は被害者からの告訴がなければ検察は起訴できず、結果的に警察も加害者を逮捕し、捜査を進めることができないのです。育成者権侵害の罪は非親告罪であり、公訴の提起に被害者の告訴は不要です。つまり、育成者権の侵害を受けた被害者は、民事訴訟での裁判所の判断や告訴は必要とせず、捜査機関が、侵害情報をつかみ逮捕や捜査を進める事が出来ます。
刑事裁判の流れ(公判の流れ)
「公判」とは、「刑事訴訟」(刑事裁判)において、裁判所、検察官、被告人(弁護人)が訴訟行為を行うために法廷で行われる手続をいいます。裁判(公判)でどのようなことを行うのかフローに沿って見て行きたいと思います。平成26年度司法統計によれば,平成26年における「裁判を受けた人が有罪になる割合」は97%。「実体判決を受けた人が有罪になる割合」は99%程度となります。日本の刑事事件では、通常、捜査段階において慎重な捜査が行われ、決定的証拠の有無、被告人の証言の信用性、被告人の自白の信用性などを慎重に吟味した結果、裁判をするかどうかを判断しています。そして、検察において確実に有罪にできるとの結論とならない限り起訴されません。つまり、刑事裁判は慎重な操作により、プロの捜査官から見て有罪であることが間違いないと判断された場合に実施される手続であり、それ故、有罪率が極めて高いのです。(出典:刑事事件弁護士ナビ)
知的財産権侵害事案への対処
知的財産権を侵害された場合の対処法は、大きく分けて、
- 差し止め請求
- 損害賠償請求
- 刑事告訴
の3通りがあります。
株式会社フジタは、知的財産権の侵害につきましては、厳しくかつ厳正に対処する方針です。